2017-07-23

尾張西部自然を学ぶバスツアーを開催!!


平成29年7月23日(日)に「尾張西部 自然を学ぶバスツアー」が開催されました。

当日は、多くの皆様にご参加頂き、大人39名・子供9名の総勢48名となりました。

 

名古屋駅に集合し、まず初めに向かった先は一宮市にあります、「島畑」の風景を見学しました。

「島畑」とは、水田の中に設けられた畑地であり、かつては全国各地に点在していました。

日本の農村風景としては普遍的なものであったとされますが、近年では、圃場整備や農地転用等により

急速に失われつつあります。

当日は、島畑研究の第一人者であります、溝口先生(名古屋大学名誉教授)並びに高山様に

バスの中と現地にて説明をしていただきました。

日本の農村景観=棚田のイメージがありますが、棚田は東南アジアにも数多く存在しており、

日本の伝統的な農村景観は、まさにこの“島畑”とのこと。

今現在、広大な規模で残されている場所は、一宮市や城陽市(京都府)などで、

日本の農村文化を伝えて行くためには、貴重な地域であることを学びました。

続いて向かった先は、稲沢市にあります「サリオーパーク祖父江」の河畔砂丘環境を見学しました。

砂丘と言うと鳥取砂丘など海のイメージですが、こちらの河畔砂丘は、川の中下流域に存在する

砂丘で河畔砂丘と言い全国的にもとても珍しい場所のようです。

この特有の環境下で見られる希少な植物として、絶滅危惧種のビロードテンツキ(カヤツリグサ科)や

カワラアカザ(アカザ科)などが生息していました。

珍しい植物を前に、参加した方々も興味津々な様子。

説明していただいた木曽川祖父江野鳥の森を守る会の伊藤代表には、これら希少種の保全の話の他、

カワセミの巣の保護状況なども見せていただき貴重な体験ができたと思います。

いっぽう子供達は、希少な植物を手で触りながら穂の硬さなどを確かめたり、

番外編ではありますが、バッタ採取やアリジゴクの巣を観察してみたりと、とても楽しんで頂きました。

ここで、午前の部は終了となります。

移動のバスで次に見学する木曽川背割堤や自然環境についての情報を鷲見副会長(大同大学准教授)に

写真を交えて事前にレクチャーしていただきました。

観光も兼ねハスの花を横目に見ながら、立田ふれあいの里(道の駅)にて、ランチタイムです。

愛西市の名物でもあるレンコンを使った料理に舌鼓。

昼食後、向かった先は、愛西市にあります「立田大橋」で、木曽川背割堤の河川環境を見学しました。

現地到着後、鷲見副会長に背割堤の説明をしていただきました。

江戸時代には、木曽三河(木曽川・揖斐川・長良川)は互いに繋がっていましたが、水害が多く

約130年前の明治時代に大規模な工事が行われ切り離されました。

そこで造られたのが背割堤です。

木曽川の水位が高くなっても、長良川に流れ込まないようにする重要な堤防なんですね。

背割堤には、川岸の侵食を抑えるケレップ水制という突堤が設けられており、

その影響で生き物にとって有効な「わんど」と「干潟」環境が形成されたようです。

土木技術が生き物に住処を与えたといえますね。

その結果、ヤナギ類や絶滅危惧種のタコノアシなどが生息するようになり、環境の多様性が向上しました。

大人チームは、背割堤の環境の奥深さを学んで頂くため、自然観察ツアーに出発!!

当協議会の幹事でもある尾張自然観察会の齋竹会長の引率の元、

背割堤に生息する生き物や植物を一つ一つ丁寧に説明をしていただきました。

まずは、スズメに似たホオジロがお出迎え。

その他にも、最近見なくなったメハジキや絶滅危惧種のタコノアシなど多くの植物が確認できました。

一方の子供チームは、干潟・わんど環境の生き物探しツアーに出発!!

当協議会幹事の加藤建設の職員による生き物レクチャーに子供たちは興味津々。

ベンケイガニに挟まれ絶叫しながらも素手で採取し、楽しんで頂きました。

最後に向かった先は、蟹江町にあります「蟹江IC」で、サギのコロニーを見学しました。

コロニーに向う道中で、日本野鳥の会 愛知県支部の野澤様より、写真を元に説明をしていただきました。

蟹江ICにいるサギは、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アオサギ、アマサギ、ゴイサギだそうで、

毎月末ごろに数を確認しているとのこと。

飛んでいるサギは、判定が難しいということで、事前にビデオ映像で勉強するらしいですよ。

サギの数をカウントするイベントでは、様々なアイテムがいただけるそうです。

ちなみに写真は、イベントアイテムのマフラータオルだそうです。

時間がたつのは早いもので、あっという間に蟹江ICに到着です。

当協議会オブザーバーの中日本高速道路様の協力のもと、高速のランプを時速20kmの低速走行。

ふと横を見ると車窓には見たことの無いようなサギの営巣地が!!

車中は、約4000匹のサギを目の前にして一時騒然、その後歓声が上がりました。

この貴重な光景に、しばらくシャッター音が鳴り止みませんでした。

でもなぜ、このような車通りの激しい場所で、営巣するのか不思議ですよね。

 

よく考えてみると、

この場所は、高速道路の中なので外敵に襲われる事がありません。

また、尾張西部の水田エリアが広がっていて、餌場が豊富にあります。

インフラ整備によって囲われたこのエリアは、

サギの子育てには、安住の地なのかもしれませんね。

 

高速道路の入り口には、右の写真のような注意看板があります。

 

ドライバーの方々には、是非注意して通行していただきたいですね。

以上で、見応え満点!迫力満点!のバスツアーは無事に終了となりました。

 

最後に、長谷川会長から挨拶をしていただきました。

尾張西部生態系ネットワーク協議会では、今後も、様々な機会を通じて、地域の魅力を発信し、

より多くの皆様と共に、自然について考え、守っていけるよう働き掛けて行きたいとのこと。

 

 

今回の「尾張西部 自然を学ぶバスツアー」では、尾張西部地域の貴重な田園風景や河畔砂丘、

干潟環境、サギの営巣地などを見学して、地域の生物多様性と保全について理解を深められました。

 

今後も、協議会として様々な情報を発信し、尾張西部地域の環境啓発を進めていきたいと思います。